ステンレス鋼というのは、鉄にクロムを加えた合金鋼で、さらにニッケル・モリブデン・銅などを
特殊な元素を加え、耐食性・耐熱性・その他の性質を向上させたものです。
大別するとクロムを13%加えた13クロム鋼、クロムを18%加えた18クロム鋼、18%のクロムにニッケルを
8%加えた18-8クロム・ニッケル鋼の3種類になります。
またクロム系ステンレス鋼は、鉄と同様に磁石につき、クロム・ニッケル系ステンレス鋼は磁石につかないと
されています。
ステンレスは建築分野で多くの用途に使われています。ステンレスのもつ優れた素材特性が、
建築物の厳しい要求に十分応えているからです。
ステンレスは耐食性、耐久性、強度、耐熱性、美観など建材としての機能を有している素材で、
近代建築に欠かすことのできないものです。
ステンレスには特性と用途の異なるたくさんの種類があります。現在、建材として多く使用されています。
建材として最も多く使われているのは、SUS304で内装、外装の大部分はこの種類ですが、
エスカレーターまわりや厨房設備などにはSUS304より耐食性のやや劣るSUS430が使われることもあります。
一方、海岸地帯や工業地帯のように塩分、鉄粉、有毒ガスなど腐食要因の多い環境では、
SUS304より耐食性の優れているSUS316が使われます。
この他にも、使用箇所によっては、他のJIS鋼種や素材メーカーで使用目的によって
開発された鋼種が使用されています。
金属組織が両心立方格子で、延性に富み加工性に優れています。
非磁性であるため、一部の電子部品、医療機器、特殊兵器にも使われています。
SUS301 | 冷間加工により高強度を得られ、鉄道車両、ボルト、ナットなどに使用される。 |
SUS303 | ステンレス鋼では被削性、耐焼付性が向上。自動車盤やボルトなどに使用されている。 快削ステンレスとして知られています。 |
SUS304 | ステンレス鋼・耐熱鋼の代表として家庭用品や工業用品に幅広く使用されています。 870℃までの繰り返し加熱に耐える。 |
SUS304L | SUS304の極低炭素鋼。耐粒界腐食性に優れ、溶接後熱処理できない部品。 |
SUS309S | 耐食性が304ステンレス鋼より優れている。実際は耐熱鋼として使われる。 |
SUS310S | 耐酸化性を309Sステンレス鋼より優高めたステンレス鋼で、同じく耐熱鋼として使われる。 |
SUS316 | 海水をはじめ各種媒質に304ステンレス鋼より優れた耐食性があり、 耐孔食材料として使用されている。 |
SUS316L | 316ステンレス鋼の低炭素鋼。316ステンレス鋼の性質に耐粒界腐食性をもたせたもの。 |
SUS317L | 316ステンレス鋼に比べ耐孔食性が優れている。染色設備材料などに最適。 317ステンレス鋼の低炭素鋼。317に耐粒界腐食性をもたせたもの。 |
SUS321 | 304ステンレス鋼より耐粒界腐食性を高めたもの。 |
耐食性などに優れていることから、刃物などに使用され高強度部機械部品などにも使われています。
SUS403 | 耐熱鋼として知られ、タービンブレード、高応力部品として使用されます。 |
SUS410 | 良好な耐食性と機械加工性を持ち、刃物類として使われています。 |
SUS410S | 410ステンレス鋼より耐食性、成形性を向上させた種類。 |
SUS420J2 | 耐摩耗性と耐食性の必要な用途に適したステンレス鋼です。 420J1ステンレス鋼より焼入れ後の硬さが高い種類で刃物、ノズルなどに使用されています。 |
SUS440C | すべてのステンレス鋼・耐熱鋼中で最高の硬さがあると言われています。 |
耐応腐食割れ性に優れています。マルテンサイト系ステンレス鋼と同様に磁性を有しています。
耐食性はオーステナイトよりは劣りますが、マルテンサイトよりは高いです。
溶接性もそこそこあります。また軟質で延性に富んだ材料でもあります。
SUS430 | 耐食性の優れた汎用種として建築内装など幅広く使用されている。 |
オーステナイトとフェライトの二つの金属組織(二相)を持つステンレスです。
物理的性質はフェライトとオーステナイトのほぼ中間です。
また、耐海水性、耐応力腐食割れ性に優れ、そのうえ強度も高いという性質もあります。
海水用復水器、熱交換機および排煙脱硫装置などの公害防止機器や各種プラント用装置に用いられてます。
SUS329J4L | 海水など、高濃度塩化物環境において優れた耐孔食性、耐SCC性があり、 製塩プラントなどで使用されている。 耐食性、強度面においてSUS316Lをも凌ぐ特性を発揮するスーパーステンレスです。 |